『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』 メーカー:ソニー・インタラクティブ・エンタテインメント 機種:PS4 評価C

 

 

アンチャーテッド』は映画をプレイできるゲーム

アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』 はノーティードッグ開発、ソニーインタラクティブ・エンタテインメント(SIE)発売のアクションアドベンチャーゲーム。全世界で800万本以上のヒットを飛ばした。ノーティードッグは『ラストオブアス』と『アンチャーテッド』シリーズで有名な開発会社でSIEの子会社である。

 

私は、『アンチャーテッド』シリーズ初プレイ。トレジャーハンター:ネイサン・ドレイクを主人公に、兄のサム・ドレイク、ネイサンの妻エレナ、ドレイク兄弟の相棒サリバンなど、個性的なキャラクターがチームを組んで、世界中の宝を探す。PS4初のナンバリング作品にしてネイサン・ドレイク最後の作品。

 

自然や遺跡、建造物などは美しく描かれ、リアリティもある。プレイしながら、まるでその場に居合わせたかのような没入感を味わえた。PS3ではなかなか、こんな美麗な映像には出会えまい。

 

アクションシーンが多く、崖の上をジャンプして登ったり、ロープを使って遠い場所に飛び移ったりできる。『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』がハリウッド映画をプレイできるゲームだと感じたのが、このアクションにおいてである。

 

 また、アクション中に崖が崩れたり橋が落ちたりするシーンが何度もあった。危機一髪のところでセーフになる展開を迎えるのだが、これもハリウッドのアクション映画のようだった。こういう映画的なシーンを連続するのが鬱陶しく、「もっと素直にアクションさせてくれよ!」と思ったが、映画をプレイできるゲームにしようとする意思は感じた。

 

単調なゲーム性が災いしている

アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、クリアするまでにとにかく長く感じた。プレイ時間は20時間程度なのに長く感じる。その原因は単調なゲーム性にあった。

 

チャプターは全部で22ある。しかし大部分は、崖を登ったりロープで飛び移ったりするアクションと、銃撃戦なのである。車に乗るシーンもあるが一本道で脇道には進めない。ストーリーも一本道でプレイヤーの選択肢でストーリーが変わることがないのはもちろん、ステージ以外の場所に行ったりすることもできない。

 

 崖とロープのアクションは、最初は私の目に新規に映ったが徐々に慣れてしまい飽きてしまう。ひたすらステージを攻略していくだけであれば、もっとアクションを凝って欲しい。映画をプレイできるゲームということを差し引いても、もう少し遊びが欲しかった。

 

個性的なキャラクターが織り成すストーリーが良い

アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、単調なゲーム性は問題だが、キャラクターの個性は豊かで面白い。『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、ハリウッド映画的ストーリーの定番をなぞる。だから、主要キャラクターは死なない。例えばネイサンと兄サムは、壮絶な銃撃戦の最中に遭っても死ぬことはないのだ。熟練の殺し屋多数を前にしても、たった2人だけで競り勝ってしまうのだから映画そのものだ。映像が美麗なだけにますますそう感じる。

 

タフな主人公ネイサンと兄サムは、タフなだけでなく滅法明るい。天涯孤独の幼い頃から助け合ってきた2人は、苦しみも喜びも共有してきた仲だ。だからこそ2人にはどんな困難も乗り越えられる豪胆さがある。岩が落ちてこようと、大勢の敵に銃口を向けられようと、打ち勝つことができる。彼らの会話にはギャグも多いが、ギャグの奥底には人生の困難を乗り越えてきた余裕が見えた。15年前に死んだと思っていたサムが、実は生きていたという展開も面白く、ストーリーの演出の巧みさが冴える。

 

ネイサンの妻エレナは若くて聡明な美女。彼女のネイサンに対する愛は真正のもので、彼女自身も冒険家の過去を持ち、ネイサンと共に渡り合うことができる。サムや友人のサリバンもネイサンとの関係が良いのだが、エレナはネイサンにとって唯一無二の大切な存在だ。エピローグでは、ネイサンとの間に娘をもうけている。娘は親が冒険家だったことを知らないが、向う見ずな2人の過去を知ってむしろ敬意を持つ。

 

敵キャラクターの魅力が薄い

アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』には多くの敵キャラクターが出てくるが、レイフとナディーンの魅力が薄かったのが残念だった。特にレイフは、ゲームの最後までネイサンとサムを苦しめるが、レイフはどういうキャラクターなのかがいまいち分からなかった。

 

レイフは、お宝に執心する悪役で、宝のためなら何でもする男ということなのだが、それは彼の台詞などから分かるだけだ。レイフが悪役たるシーンを見せないと「宝のためなら何でもする男」というイメージが板につかない。

 

ナディーンは、レイフよりは見せ場がある。何しろ、タフな冒険家ネイサンよりも強く、しかもサムとネイサンの2人がかりでかかっても敵わないほどに強いのだ。本来、レイフよりもナディーンを悪の親玉にすれば良かったのだが、あくまでもナディーンはレイフの補佐役に留まっている。彼女をもっと活用して、レイフの執着的な性格をナディーンにも備えつければ敵キャラクターの魅力も濃くなったと思う。

 

単調さがどうしても気になった

アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、全体的にいまひとつの作品だった。アクションが単調で、敵キャラクターの魅力が乏しい。20時間程度の短いボリュームなのに、クリアするまでが「長く」感じられるのが頂けない。

 

それでも最後までつづけられたのは、主人公キャラクターの魅力、明るい雰囲気、美しい映像などによるものだ。映画をプレイできるゲームという印象は確かに持ったのだが、ゲームは遊びなので、単調にならないようプレイヤーに飽きさせない工夫が必要だろう。最後まで単調さが払しょくできなかったので、あまり良い評価はできない。